ハノイ市内交通状況とメトロ(都市鉄道)計画の進捗状況(2017年7月現在)

ハノイ市内の交通機関は、2017年7月現在、バス、タクシー、バイクタクシーのみで地下鉄やモノレールなどはまだありません。
鉄道はあるにはありますが、他都市とを結ぶ長距離輸送のみです。

市民の移動はバイクが一般的で、そのバイク量は、東南アジアの中でも随一を誇ります。
3~4人乗りのバイクや犬を載せたバイク、自動車くらいの幅の大量の荷物を載せたバイク、ほとんど楽器を鳴らすように止めどなく響くクラクションの音、そして車道を埋め尽くすバイクの間を何事もなくかき分けながら横断していく歩行者の様子は、ハノイホーチミン市など、ベトナムの大都市の風物詩といっても良いくらいです。


How to Cross the road in Viet Nam - The New York Times


ハノイ市内の交通状況は、高架橋の建設や道路拡幅工事など、現在急ピッチで進められている道路整備では間に合わないほど、改善の様子を見せていません。
道路信号の未整備や、信号があっても無視するドライバーが多いことも手伝って、特に朝夕の交通ラッシュは、場所によっては車・バイクがピタッと停止してその場から数分~数十分、全く動かなくなるほど深刻です。

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(VIETNAM.NETより)

当然、排気ガスによる空気汚染も引き起こされていて、バイクの運転手の多くは、マスクをして運転しています。
僕自身も、たまに日本に一時帰国したときに、東京や大阪の街中でさえ心なしか空気がきれいで呼吸が楽だなと感じることがあります。

政府は、
ハノイ市内での2030年までのバイクの通行全面禁止
・自動車についても一定の時間帯に一部区域で走行を禁止
・地域ごとにタクシーの台数を制限
・バス車両数の増大
バス高速輸送システム(BRT)の整備
など対応策の検討を進めていますが、予定通り計画が進行するか、また対応策が適切に機能するかは未知数です。

近年、自動車を所有する人も少しずつ増えてきてはいますが、ベトナム人の自動車所有率はまだ1.6%で、これは一足先に経済発展を遂げた隣国タイの10分の1以下の水準です。
ASEAN経済共同体(AEC)の発足を受け、現状約40~50%にも上るASEAN諸国からの輸入完成車の輸入関税が2018年に全廃され、また、今後さらなる経済発展により中流層・富裕層が増加すると、自動車の所有率が急増していくことが予想されます。
それに伴い交通渋滞だけでなく駐車場不足も大きな問題になることは間違いありません。

この状況を改善するには、既存のバイク、自動車、タクシー、バスの規制・整備だけでなく、都市鉄道の整備が不可欠です。
ベトナム政府は現在、ハノイ市内に全8路線のメトロ(高架鉄道・地下鉄)の整備を計画しています。
少し見づらいですが、下記がメトロ計画の全体図です。
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簡便な路線図もあります。

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Wikimedia Commonsより)

ただし、これはあくまで、この先数十年を見越した計画です。
当初の計画に基づくと、いくつかの路線では既に運行開始予定時期を過ぎており、建設途中の事故や資金不足等の影響により計画にかなり遅れが生じています。

それでも、ようやく最近になって、ハノイ市内の一部ではメトロ用の高架や駅舎が姿を現すようになり、ハノイ市民が待ちわびた運行開始も視界に入ってきました。
現時点で建設が進められていて、近年中の完成が見込まれているのは、2号線の一部(2A線)と3号線の2路線です。

実際に、ハノイメトロの公式ウェブサイト(現時点でベトナム語のみ)にも、この2路線のみの路線図が掲載されています。
Hanoi Metro Network (by Bằng Nguyễn)

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青が2A号線、赤が3号線です。

このうち、計画が最も進んでいるのが青の2A号線で、今年2017年10月に試運転を開始し、2018年第二四半期の営業運転開始を目指しています。
順調に進めば、約1年後にメトロに乗ることができます。

一方、先月末、ベトナムの不動産開発大手ビングループが、民間企業で初めて、ハノイ都市鉄道事業に100兆ドン(約5,000億円)を支出するというニュースが入ってきました。
上記の2路線だけでなく、他の路線についても、今後建設が迅速に進められることが期待されます。
逆に、ベトナムならではのバイクが溢れる光景を目にしたい場合は、今後5~10年くらいのうちにハノイを訪れたほうが良いかもしれません。

ベトナムの深刻な交通渋滞と、縦横無尽に駆け抜けるバイクの景観を大幅に変えてしまい得る都市鉄道整備計画の今後の進捗状況に注目です。

次回はハノイメトロ2A号線についての現時点での最新情報をまとめてみたいと思います。