読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Gelardo(前編)

2月にベトナムの旧正月(テト)で長期休みがあったので、今回はキューバに1人旅に行ってきました。

到着翌日、ハバナ市内をぶらぶらと歩き回っていると、露天のハンバーガー屋さんを見つけました。
ちょうどお昼時でお腹も減っていたので、1つ1ペソ(約100円)のハンバーガーを買って、店の前の簡単なつくりのテーブル椅子に腰かけて食べていると、おっちゃんから「ここに座ってもいいかい?」と英語で話しかけられました。

おっちゃんもハンバーガーをちょうど買ったところで、
「いいよ」と答えると
「どこから来たんだ?」
「日本からだよ」
「旅行?」「仕事は?」
などたわいもない話をしばらくしました。
英語は流暢ではないもののある程度通じます。
よくよく聞いてみるとおっちゃんはGelardoという名前のキューバ人で理容師をしているということがわかりました。
 
「どこで切ってるの?ここから近いの?いくら?」とかいろいろ聞いてたら、「髪切りたいのか?」と聞かれたので、僕はちょうど少し髪が伸びていたし行ってみるのも面白いかなと思って、思い切って「うん、切ってよ」とお願いしてみました。
Gelardoも少し驚いていましたが、快くOKしてくれました。
お店はそこから歩いて10分くらいのところにあるとのこと。
ただし今日は用事があると言うので、
「じゃあ明日は?」
「明日ならOKだ。明日の朝10時にここで待ち合わせだ。」
「わかった」
という話になり、先に食べ終わったGelardoは出ていきました。
 
僕はまだしばらくそこで休憩していました。すると、10分くらいしてGelardoが戻ってきました。
「俺の友達がすぐそこで髪切ってるからそこで切っていけば?」と言うのです。
行ってみると確かにすぐそばに散髪屋があるのですが、スペイン語しか通じない様子でした。

僕の目的は、髪を切るというよりは普通のキューバ人と話をすることだったので、それは遠慮して翌日Gelardoに切ってもらうことにしました。
約束をして本当に来るのか来ないのか、来るにしても時間通り来るのか遅れて来るのかどのくらい遅れるのか試してみたいという気持ちもありました。
この時点での僕の予想は50%/50%でした。
 
翌日、僕はハンバーガー屋さんの前に5分前には到着し、「さぁどうかな、まぁどっちでもいいや」と思いながら、来ないことや遅れて来ることも想定して本を読みながら待っていました。
するとGelardoはやはり10時になっても現れません。
10分待っても15分待っても現れず、待つこと30分。
結局10時半まで待っても来なかったので、これはダメだなと思ってその場を離れました。
 
僕は近くのお土産屋さんに向かい、伝説の革命家チェゲバラの似顔絵が印字された野球ボールとか、キューバの代名詞的な1950年代のアメ車のイラストが入った大き目の巾着袋とかを見て、お店を出て、たまたまさっきのハンバーガー屋さんの通りを通ってさらに街中に向かって歩いていました。
おそらく時刻は11時ごろだったと思います。
急に肩をポンとたたかれました。
顔を上げてみると目の前にどこか見覚えのあるテンションの高いキューバ人のおっちゃんが立っていました。
Gelardoです。
 
Gelardoに「Hey, Ryo! 髪切るんだろ?」と言われ、
僕は少し戸惑いながら、「10時から30分待ってたよ!」と言うと、
「ちょっと今日は忙しかったんだ。」
「いやぁ、日本とは時間が違うからな。」
とかよくわからないことを言いながら、「よし、じゃあ今から行くか」となって、「お店はここから近いんでしょ?」と聞いてみると、「いやこの近くのお店は家賃が高いから今はもう閉めたんだ。俺の家で切ってやる。タクシーですぐだから。」と言うのです。
 
僕は、昨日と言ってること違うし、家?タクシー?・・・と思って、家はさすがにちょっと怖いし、タクシーだとどこ行ったかわかんなくなるしとちょっと考えました。
「歩いてけないの?」と聞いてみると、「歩いてもいい。No Problemだ。」と言うので、歩いて行くことにしました。
時期的にもそんなに暑くないというかむしろ少し肌寒いくらいでした。
 
ところがしばらく歩いていると、近くにバスが停まっていて、Gelardoがやっぱりバスに乗ろうと言いはじめました。
ただバスは満員で乗ることができず、やっぱりタクシーだということになり、結局僕はあきらめてタクシーに乗ってGelardoの家まで行き髪を切ることになりました。
 
(次回に続く)